池本身上監護事務所ブログ
2016.05.07
知的障がいの方のファイナンシャルプラン
今日は、知的障害の方のファイナンシャルプランについて
お話しようと思います。
知的障がいのある方の収入は、
・障害基礎年金
・就労収入
の2つで成り立っている場合が多く見受けられます。
高齢であったり、就労をされていない場合は、
基本的に障害基礎年金だけの場合や、
ご家族の援助や遺産、自身の貯金を使っての場合があります。
今回は、収入は「障害基礎年金」と「就労収入」の2つだけとし、
ご家族からの援助が無い(天涯孤独)、貯金無しという状況で、
1ヶ月分のファイナンシャルプランを考えていきます。
ではまず、収入面は、
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・障害基礎年金(2級で算出します) ⇒ 約65,000円
・就労収入 ⇒ 約15,000円
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・収入合計 ⇒ 約80,000円
就労収入が「1万5千円」しかないって間違いでは?と
思った方もいらっしゃるかも知れませんが、
実は、間違っていないのです。
しかも少し多く見積もっています。
勤務日数は、週5日、
就労時間は、1日約7時間
なのに、この金額なのです。
昼食代が給与天引きのところが多いので、
どうしても手取り金額が少なくなってしまうのです。
では、支出をみていきましょう。
今回は「グループホーム」を利用されている場合とします。
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<固定費>
・家賃 ⇒ 約20,000円
・光熱費 ⇒ 約15,000円
・食費 ⇒ 約30,000円
小計 ⇒ 約65,000円
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固定費だけで、収入の81%がなくなってしまいました。
その他の支出をみてみましょう。
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外出費 ⇒ 約12,000円
※福祉サービスの移動支援(ガイドヘルパー)を利用。
毎週末、近隣散策と昼食同行に必要。
1回あたり1,500円で試算しています。
・雑費 ⇒ 約2,000円
※消耗品購入(洗面用品・衛生用品)
小計 ⇒ 約14,000円
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収支合計は、
80,000円 - (65,000円+14,000円)
=1,000円
となり、毎月1,000円の黒字です。
1年間に12,000円貯金する事が出来ます!
ヨカッタ、ヨカッタ?
この状況は、そんな楽観的なお話ではありませんよね。
確かに黒字で貯金も出来ていますが、
この試算には、
・被服費
・娯楽、遊興費
・医療費
は含まれていません。
何か、大病を患ったり、
現在使用している衣服が劣化してしまったりすると、
どうしようもなくなってしまう状況です。
憲法には、
「日本国民は最低限の文化的営み、生活を保障される」
と明文化されているのですが、
今回のケースの方は、どうでしょうか?
最低限の「生活」と「文化的な営み」はされておられますか?
ファイナンシャルプランは作成するだけでは、
ただの状況確認をするだけになってしまいます。
こういった現状を、依頼者様(利用者様)と一緒に
改善していかないと、いつまで経っても、
この生活から脱する事はできません。
自身の家族が、このような生活になっておられる方は、
必ず、何か方策がありますので、一度、ご相談いただければと思います。
当事務所では、プラン作成だけで終わることなく、
生活改善のアドバイスも行っておりますので、
まずは、お気軽にメール・電話にてご相談くださいませ。
一人でも多くの方に、私の手が届きますように。